こんにちは、ひいらぎです。
以前、作品に使っている生地についてご質問がありました。
つまみ細工を作りたいけど、どの生地を買ったらいいの?
つまみ細工は、使う布の種類や厚さによって雰囲気がガラッと変わります。
手芸店で実際に触れて購入できたらいいですが、種類や色が限られています。
今回は、つまみ細工でよく使われる生地の特徴をまとめました。
生地の特徴を知って、作りたいつまみ細工のイメージに合う生地を選んでみてください。
絹布(シルク)とは
シルクは蚕(かいこ)の繭(まゆ)を原料としている動物繊維のことを言います。
動物は植物ほど繁殖力が強くないため、コットンよりも生産量が少なく高級素材になります。
値段が高いのがデメリットですが、振袖や色打掛といったフォーマルなシーンに着る第一礼装に合わせる髪飾りを作りたいなら絹布がぴったりです。
真珠のような光沢があり、紫外線を吸収するのが特徴です。
直射日光に当たって紫外線を吸収すると、黄色く変色してしまいます。そのため、保管には注意が必要となります。
正絹羽二重(しょうけんはぶたえ)とは
羽二重は、平織りと呼ばれる経糸と緯糸を交互に交差させる織り方で織られた織物のひとつです。
通常の平織りが緯糸と同じ太さの経糸1本で織るのに対し、羽二重は経糸を細い2本にして織るため、やわらかく軽く光沢があるのが特徴です。
絹布の羽二重(正絹羽二重)は、着物の裏地として使用されています。
着物をリメイクして、古着を使ったつまみ細工を作る場合には、胴裏の生地を使うと日に当たっておらず変色が少ないと思います
。
メルカリなどフリマサイトで着物の古着を購入する際には、胴裏の生地を選ぶのをおすすめします。
正絹羽二重の単位 匁(もんめ)とは
「匁(もんめ)」は、生地の重さを表す単位です。
明治時代より、1匁=3.75g(=五円玉分)と定められました。
つまり、匁は日本で昔から使われている「質量の単位」です。
生地の厚さを表していると思っていましたが、重さなんですね。
数字が小さいほど軽くて薄い生地になります。
真珠を数えるときにも、「もんめ」を使いますね。
正絹羽二重は、糊との相性がよいです。
薄い生地ほど繊細なつまみ細工に向いていますが、扱いが難しいのでつまみ細工中級者以上向けです。
初めて正絹羽二重を扱うときは、14〜10匁から始めるのをおすすめします。
縮緬(ちりめん)とは
ちりめん(縮緬)生地は、表面にシボ(凹凸)が見られる織物のことを言います。日本では着物や風呂敷など、伝統的な衣類・身の回りの小物に広く使われてきました。
交互に打ち込む強撚糸の本数や、素材の違い等により、さまざまな種類のちりめんがあります。
一越ちりめんと二越ちりめんの違い
撚りをかけられたヨコ糸は「本」ではなく「越」と呼ばれ、一越(ひとこし)と二越(ふたこし)があります。
言い換えれば、ヨコ糸が「一本」か「二本」の違いです。
この「越(ヨコ糸)」の数で、出来上がったときの布の質感が変わります。
ちりめん産地によっても、生地のシボの凹凸具合や風合いも大きく異なります。
一越(ひとこし)ちりめんとは
一越ちりめんは、薄手で細かいシボがあります。薄手なので、折りたたんでつまみやすいのが特徴です。
糊・ボンドともに相性がよく、繊細なつまみ細工に向いています。
二越(ふたこし)ちりめんとは
二越ちりめんは、一越ちりめんより厚みがありシボが大きいのが特徴です。
手頃な値段なので、一越ちりめんに手が出せない人やカジュアルな風合いがよい人に向いています。
糊・ボンドともに相性がよいです。
ぷっくりと可愛らしい雰囲気のつまみ細工の花を作りたいときには、二越ちりめんを選ぶとよいでしょう。
七五三の髪飾りにもおすすめです。
レーヨンとは
レーヨンとは、綿や木材パルプを原料とし、絹のような風合いを人工的に作ろうとしてできた化学繊維です。
絹のような光沢がある生地で、染色が色鮮やかなのが特徴です。
絹ちりめんより安いため、ダイソーなどの100円ショップでも取り扱っています。
糊・ボンドともに相性が良く、つまみ細工をこれから始めたい方や練習用の生地としておすすめです。
キュプラとは
キュプラとは、本来繊維として使用されない綿の産毛部分を原料として作る化学繊維です。
キュプラはレーヨンより細くしなやかですが、強度や吸水性、染色性はレーヨンよりも優れています。
レーヨンと同じく絹のような光沢がある生地です。
原料が綿(コットン)なので、糊・ボンドともに相性がよいです。
絹100%の正絹羽二重は高級すぎるから買えない、手軽に高級感あるつまみ細工を作りたいならキュプラ生地がおすすめです。
サテンとは
「サテン=生地の名前」のように思われがちですが、「サテン」自体は織り方の種類の名前です。
サテンは、「朱子(繻子)織り」、または「朱子組織」のことを指します。
朱子(しゅす)織りとは、経糸と偉糸の交差する点をなるべく目立たないようにして、織物の表面に経糸または緯糸を長く浮かせた織り方のことを言います。
つまり、材料が「絹(シルク)」で織り方が「サテン」なら「シルクサテン」と言います。
サテンは、光沢があり高級感がある見た目と、手触りが滑らかでツルツルとしているのが特徴です。
ナイロンやポリエステルなどの合成繊維で織られたサテンが多く流通しており、安く手に入ります。
ただし、ポリエステル100%の生地は糊もボンドもひっつかないのでつまみ細工には向きません。
市販されているつまみ細工キットにも、サテン生地はよく使われていますが、ツルツルした生地は折りにくく、つまみ細工初心者さんには作るのが難しいと感じるかもしれません。
サテン生地を使って花びらをつまんだあとは、洗濯ばさみやクリップを使って乾くまで固定するといいでしょう。
綿布(コットン)とは
綿布は、植物の「ワタ」から採取される繊維から作られた生地です。綿繊維の内部は空洞となっているため、綿布には軽さと高い保温性、吸水性があります。
熱に強く、染色しやすいのが特徴です。
ボンドとの相性がよいです。
綿布は、様々な織り方により種類が豊富にあります。
そのため、生地屋さんに行くとどれを買ったら良いか悩むと思います。
綿布の種類と厚さの違い
綿布の厚さは、一般的に、ローン < ブロード < シーチング < オックス < カツラギ ・綿麻キャンバス< 帆布 の順と言われていますが、名称は織り方の違いで実際の厚さは糸の太さによります。
繊細なつまみ細工には、ローンが向いています。
ブロード生地は、やや丸みを帯びた花びらになります。適度な厚みとハリがある生地なので、初めてつまみ細工を作るときには、ブロード生地がおすすめです。
シーチングになると少し厚みが増すので、3cm以下の小さな花や花びらの数が多い花は作りにくいと思います。
糸の太さは「番手」で表す
番手は、糸の「一定の重さあたりの長さ」を表します。数字が小さい方が、糸が太いことになります。
60番手と80番手のローン布では、80番手の方が薄い生地になります。
洋風つまみ細工には「リバティプリント」がおすすめ
リバティプリントは、“タナローン”というリバティ社を代表する上質な綿ローンが使用されており、シルクのようなツヤ、しなやかで柔らかい生地が特徴です。
横糸に100番手の糸・縦糸には70番手の糸を使用しています。
可愛らしい柄を生かした、洋風なつまみ細工作りに向いています。
まとめ
つまみ細工によく使われる生地には、絹(シルク)・ちりめん・レーヨン・キュプラ・綿(コットン)があります。
高級感ある雰囲気には絹(シルク)、可愛らしい雰囲気にはちりめん、つまみ細工初心者さんや練習用にはレーヨン、洋風つまみ細工には綿(コットン)が向いていると思います。
ポリエステル100%の生地は、糊もボンドもひっつきにくいのでつまみ細工には向きません。
繊細で美しいつまみ細工を作るには、薄い生地を選ぶとよいですが、薄い生地ほど扱いが難しいです。
この記事を参考に、つまみ細工作りを楽しんでみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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